あ め だ ま 図 書 館

読んだ本を紹介!本の世界へようそこ!

『スクラップ・アンド・ビルド』 羽田圭介

あめだまが本を

ちょうどあまり読まなくなった頃に、

長年のノミネート落選を超えて、

芥川賞受賞でちまたを騒がせていた本作。

タイトルのスクラップアンドビルドから仕事に

からむ建築的なものを感じて、

過去を取り返すために本作を手に取った。

 


『スクラップ・アンド・ビルド』

 

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建築の話ではありませんでした、介護の話

もうじいちゃんは、死んだほうがよか。

母と転職活動中無職の息子と介護を受ける祖父の話。

全身体が痛い祖父だが、歳をとった体としては

あくまで健康との診断を病院からくだされる。

杖をつき、夜中も2時間おきに音を立ててトイレに行く祖父。

あめだまの年老いた時の介護、最近物忘れが加速してデイケアに通うあめだまの祖父を思い出す。

いずれは人として死にゆく中で、

医療の進歩で、ベットで寝たきり状態のまま

長く生かされることに対して、

介護のやり方に対して、

深く考えられる作品だった。

 

 

あめだま的評価★★☆☆☆(2/5)

 

 

『スクラップ・アンド・ビルド』

初出版:2015年8月日

 

著者:羽田圭介

1985年東京都生まれ。明治大学卒業。

2003年「黒冷水」で第40回文藝賞受賞。

2008年「走ル」が第139回芥川賞候補

2009年「ミート・ザ・ビート」が第142回芥川賞候補

2014年「メタモルフォシス」が第151回芥川賞候補

2015年「スクラップ・アンド・ビルド」で第153回芥川賞受賞。

著書に『黒冷水』『走ル』『不思議の国のペニス』『ミート・ザ・ビート』『盗まれた顔』『「ワタクシハ」』『隠し事』『メタモルフォシス』『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』『成功者K』など。

 

 

 

 

-あらすじ-

「早う死にたか」
毎日のようにぼやく祖父の願いをかなえてあげようと、
ともに暮らす孫の健斗は、ある計画を思いつく。

日々の筋トレ、転職活動。
肉体も生活も再構築中の青年の心は、衰えゆく生の隣で次第に変化して……。
閉塞感の中に可笑しみ漂う、新しい家族小説の誕生!

 

 


-ネタバレ有りあめだま的感想-

 

 

 

 

・手厚い介護は老人を死に向かわせる

 手も足も動く老人にできるけど、

 身体が辛いというのに対して

 なんでもやってあげるという行為に

 筋肉の衰えを加速させ

 寝たきりにさせることが果たして正しいのか。

 動けるうちに動かないとたしかに、

 後々もっと動けなくなってしまう。

 ただ、理想はやりたくないことと

 楽しくできることを分けて考える

 ことなんだろうと思う。

 ただ自分は極力長くいきたいなと、

 タバコをふかしながら思う。

 


・作者羽田圭介と主人公

 芸人又吉の「火花」と同時受賞ということで

 世間を騒がせ、テレビ、ラジオなどたくさんの

 メディアに出演していた作者。

 作者のストイックな感覚が主人公から

 感じられる。

 本人はインタビューで否定しているが、

 どこか嘘をつかない偏屈さが

 それが人から見た時にストイックに見える

 のだけどなと思う。

 本を書くということに実体験を重ねるのは

 もちろんのことだが、

 どこか賞を取るための本に感じてしまった。

 本を書くということを仕事として

 楽しんで書いている、

 こんな事を伝えてやる!みたいな

 熱い感覚はあまり感じず

 どこか社会的な批判的な部分を題材に

 世間に受けるかなというところを主に

 書かれているのでは。

 題材のテーマが重く、間違った事をつっこんで

 書きにくかったのではとすら感じた。

 正直に言えば、

 いまいちだったかなって感想です。 

 作者のインタビュー記事もいくつか読んで、

 こんな事を考えて、こういうふうにしたんだよ

 みたいなものもどこか意味づけみたいで、

 聞きたくないなとさえ思う。

 

2015年大学が忙しくなり、就活も始まるぞと

本をあまり読まなくなったころの騒ぎの本を

ようやく読めて、一つ取り戻したぞと。

この辺りから売れ始めた偉大な作家はまだ

たくさんいるのでゆっくりと取り戻していこうと思う次第です。

当時はやっていたものってのは、

なかなかインスタで本を探していてもでてこないもので

どうしても昨年、今年の騒いでいる本とか、

新作の投稿ばかりが目につくなと感じている。

コロナから新しい社会になったなとは感じるものの、

人間のそもそもの根源は変わらないわけで、

少し前の本もたくさん読んでいきたいと

思っている次第です!