あ め だ ま 図 書 館

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「同志少女よ、敵を撃て」 逢坂冬馬

2022年本屋大賞受賞作。本屋で見ない日はなかった本作をようやく読みました。


『同志少女よ、敵を撃て』

 

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第二次世界大戦中の1941年〜1945年にソ連とドイツの間で行われた独ソ戦(東部戦線)での

ソ連の女性狙撃兵にスポットが当てられている。

ナチス・ドイツに関して知識が乏しく、

小学校の社会からやり直すべきだ。

と強く悔しい気持ちになった。

ただ、本作は本当に目の前で独ソ戦が行われているような臨場感、

そして、世界で唯一の女性兵士狙撃に完全にフォーカスされており、

自分が女性兵士として参加しているような

感覚を感じ、涙なしでは読めませんでした。

読んでいるというより、これはもはや体験。

 

そしてタイトル「同志少女よ、敵を撃て」の

敵とはいったい。

 

さすがは様々な賞を受賞する作品。

確かにこれはおすすめせずにいられません。

 

あめだま的評価★★★☆☆(3/5)

 

 

『同志少女よ、敵を撃て』

初出版:2021年11月17日

第11回アガサ・クリスティー賞受賞

第166回直木三十五賞候補

第9回高校生直木賞受賞

2022年本屋大賞受賞

 

著者:逢坂冬馬

1985年生まれ 埼玉県所沢出身

2021年「同志少女よ、敵を撃て」にて

アガサ・クリスティー賞受賞にて

史上初全選考委員が5点満点をつけてデビュー

2023年「歌われなかった海賊へ」

 

-あらすじ-

 

小さな村「イワノフスカヤ村」で

母親と猟を行っていたセラフィマ。

ある日、ドイツ軍に村人達を惨殺され、

赤軍に家や村人の死体を燃やされた。

以降、猟をしてた時の狙撃の技術を使い

狙撃兵として母親を殺したドイツ人へ復讐を誓うと同時に、

母親の亡骸や家を焦土作戦によって燃やしたイリーナに復讐を計画。

数々の厳しい訓練を終え、

激戦区と化していたスターリングラードで見たものは…

 

 


-ネタバレ有りあめだま的感想-

 

 

 

・女性狙撃兵

 女性狙撃兵と聞いて思っていたことは、

 どんな敵をも射抜くずば抜けたセンスを持つ

 女性がバシバシ敵を倒していく、

 そんな厨二心くすぐる展開を予測していたが

 そんな爽快さは皆無。

 実際の戦争の過酷さ、惨めさ、辛さを

 鮮明にぶつけられ言葉が出ない。

 主人公セラフィマ達、女性狙撃兵の様々な

 思いで戦場に立っている。

 あめだまが中でも響いたのはシャルロッタだ。

 シャルロッタは旧貴族出身であることを

 周囲に隠し、天真爛漫で明るいムードメーカー

 である。

 彼女の仲間を思う心に度々心を打たれた。

 


・敵とは

 女性を守るために戦うと決めたセラフィマが

 最後に打ったのは。。。

 

 「あなたはなぜ戦うのか。」

 

 少し軸ハズレですが、

 現代の日本で誰かと戦うってことは

 起こることはあまりないのですが、

 自分の根源となる部分がどんな時でも

 大切にしたい。

 言い換えれば「あなたはなぜ生きるのか」

 

 あめだまはあの場面で引き金を引けるだろうか

 

 

 

戦争の作品って現代の日本で平和に生きてきた

あめだまとしてはなかなかに

刺さってこないことが多い。

その場の残酷な感動みたいなものは感じるし

自分の爺さん達もこれを体験していると

分かりながらもどこか遠い話に感じていた。

ただ独ソ戦も1945年の話でまだ100年も立っていないと思うと

いつ戦争が再び起きてもおかしくないのではと、

少し恐怖を感じる。

戦争のために狙撃を鍛えた彼女達は

戦争が終われば必要のない狙撃という技術を

持ったただの人だそうで

逆に言えば、

戦争が始まった時のあめだまは

何もできないただの人なのだろう。