ホロライブ所属のVtuber儒風体らでんの
12月の推薦図書ということで手に取った本作
まず、私が本屋や古本屋で見かけても
この本を手に取ることなかったであろう。
気にならないものほど、
実は知らなかった世界がそこにあるのでは
と、しかたない。
推薦するのであれば読むしかあるまい。
読み終わって感じることとしては
推しは「アクセサリーやバッグ」ではなく
「背骨」なのだなと。
私は所謂ゆとり世代(ミレニアム世代)なのだが、
『推し、燃ゆ』からZ世代の青春を味わった気がした。
私も好きな金原ひとみが最後に解説してくださっていたのだが
コミュニティ、家族の体系の変化について触れられおり、
この話も私の中の感じていた言葉になっていなかったものが腑に落ちた気がした。
自分は生まれて初めて自分より年下の小説家の作品を読んだのかとしみじみ。
-あらすじ-
本作は、タイトルの通り
推しているアイドルグループの1人が、
ファンを殴って、燃えるところから始まる。
「推しは私の背骨だ。」と
推しを解釈することに心血を注ぐ、
主人公の高校2年生のあかりのお話である。
推しを持つ全ての人たちよ。
準備はできているだろうか?
-宇佐見りん-
2019年『かか』にて文藝賞を受賞しデビュー
三島由紀夫賞を最年少で受賞
2020年本作『推し、燃ゆ』にて芥川龍之介賞受賞
----ネタバレ注意----
主人公あかりがバイトも上手くできない、
勉強も上手くできない、と描かれているのが
すごく引っかかった。
「やらないんじゃない、できない」
しかし、あかりは推し関連のファイリングは
的確に綺麗に整理されているし、
ブログに至っては文章からも多くの読者がいることからも、
根は真面目な、賢さを感じずにはいられない。
姉と比べて、他の同級生と比べられてと
彼女はずてに「できない」と
生きることに諦めてしまっている中で
「全身全霊を打ち込めることが、
わたしにもあるという事実を
推しが教えてくれた」
セピア色の世界が彼に出会いカラフルに色づいた的なそういうことが
身近な人じゃなく、「推し」ってことなのかなと
思う。
私には、背骨たらしめる
推しのような存在はいない。
私を分解していけば
構成としてのパーツになっているが
「推し」とは好きとかとは
また違う異なるものである気がした。
解散後の推しのマンションを
遠くから眺めるシーンではあかりは、
窓からでてくる洗濯をする女の人に睨まれ、
足早に立ち去っているシーンも
特に印象的でした。
-余談-
最近、嫁の影響で「produce101Japan」
通称「日プ」を毎週みていた。
日本全国から投票で101人の候補者から11人を
争う番組となっている。
番組の投票システムもよくできており、
最初は101人から11人を投票し、最終的には
20人から1人を投票する。
推しを決めてあなたの手でデビューさせてと
参加型のものとなっていた。
夢見る少女たちの頑張る姿や、やり遂げた姿は
人の心を動かして、
夢見る少女同士て励まし合う姿は
誰にも落ちてほしくないとすら感じる。
私の推しは田中琴ちゃんだ。
(推し、燃ゆを読んだ私からすればそれは推しになっていないのだが、投票した子)
テレビ番組としての構成になっているので
熱い展開やわかりやすいシーン、顔面偏差値の高い子がよく映るのだが、
彼女の直向きに頑張る姿は取り上げられることは少ないのだが、
怠け者の自分発起させるような熱いものを感じた。
彼女は結論デビューできなかったのだが
直向きに頑張る彼女をいつかメディアで見ることになるのはそう時間がかからないことだろうと思っている。