自分が初めて自覚して見に行った、印象派展。
その印象派展でも特段目をひいたのは
フィンセント・ファン・ゴッホでした。
日本人としての美的のツボなのか。
日本人から愛される画家ゴッホ。
好きと言って何も知らないでは、話にならない。
そんなことから、この本を手に取った。
『たゆたえども沈まず』
フィンセント・ファン・ゴッホの生涯を
明治の時代にフランスで躍動した日本人美術商、
フィンセントの弟テオドルス目線で史実を軸に
フィクションとして描かれている。
あめだまは恥ずかしながら、
ゴッホという人物を深く知らず、
史実も深くは知らず、読み進めた。
新しい時代への幕開け、
フィンセント兄弟の同類としてのすれ違い、
ジャポニズムがバズっていく時代が目の前で
広がっていく。
ゴッホの傑作「星月夜」が誕生することの感動。
ゴッホの作品に込められた思いを感じることができる。
是非にゴッホの作品を見ながらの読書を
おすすめしたい。
中でも「ファン・ゴッホの椅子」と「ゴーギャンの腰掛け椅子」がストーリ含めて良きです。
あめだま的評価★★★☆☆(3/5)
『たゆたえど沈まず』
初出版:2017年10月25日
著者:原田マハ
1962年7月東京都小平市生まれ
大学卒業後、真理邑美術館、伊藤忠商事、森ビル森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館に勤務
2002年キュレーターとして独立
2003年カルチャーライターとして執筆活動開始
2005年『カフーを待ちわびて』第一回日本ラブストリー大賞受賞
2012年『楽園のカンヴァス』第25回山本周五郎賞受賞、直木賞候補、本屋大賞3位
2012年『キサマの神様』酒飲み書店員大賞
2013年『シヴェルニーの食卓』直木賞候補
2018年『異邦人』京都本大賞
2019年『美しき愚かものたちのタブロー』直木賞候補
-あらすじ-
誰も知らない、ゴッホの真実。
天才画家フィンセント・ファン・ゴッホと、
商才溢れる日本人画商・林忠正。
二人の出会いが、世界を変える一枚を生んだ。
1886年、栄華を極めたパリの美術界に、
流暢なフランス語で浮世絵を売りさばく
一人の日本人林忠正。
その頃、売れない画家の
フィンセント・ファン・ゴッホは、放浪の末、
パリにいる画商の弟・テオの家に
転がり込んでいた。
兄の才能を信じ献身的に支え続けるテオ。
そんな二人の前に忠正が現れ、
大きく運命が動き出すーー。
-ネタバレ有りあめだま的グッドポイント-
〜フィンセント・ファン・ゴッホ〜
ゴッホという人間について、遠い人のように感じていたものが近くに感じるようになった。
今でこそ知らない人はいないほどの画家も、
当時は評価されず、絵を描き続けていた。
弟テオへの思い、感情表現が苦手な兄。
苦しみ、もがくゴッホを弟テオの視線でみるのは、遠い存在が近くに感じた。
そして、今の現代に生きていることを幸運に思った。
〜林忠正〜
あの時代にパリに渡り、夢のパリで成功させた画匠であった。恥ずかしいがこちはも名前も存じず、彼の力でジャポニズムが発展し、
好きだと感じる印象派の作品が生まれてきていると思うと感慨深い。
絵を描かない彼が私たちの知る名画を誕生させているのだ。
絵に限らないにしろ、
直接でなくても間接的に名作を産むことは可能なのかもしれない。